名古屋大学 社会貢献人材育成本部 ビジネス人材育成センター / B-JIN.JP

No.16: 長嶋千恵 - 先輩たちの体験記

長嶋 千恵

長嶋 千恵 (Chie Nagashima)

基礎研究企業 研究員

名古屋大学大学院理学研究科にて博士(理学)取得。博士後期課程終了後、 4年間のポスドクを経て基礎研究を行う企業へ入社。

2010年10月時点


まわり道をしたことがよかった

 学位取得前から企業での就職を考えていた彼女にとって、研究室の装置開発を果たし、出産の経験もした博士課程とポスドクの4年間は、良い意味での回り道だったという。現在は基礎研究を行う企業で研究員として勤務している。
 
 「修士の頃から博士課程には進まず就職しようと考えていましたが、開発をしていた天文観測装置が完成するまでは見届けたいという思いから博士課程に進みポスドクとなりました。ポスドク4年目に装置開発のプロジェクトの区切りもつき、子育ても一段落したので、就職するなら今だ、と思い就職活動を始めました」

 4社から内定を受けたという就職活動法のポイントは、彼女オリジナルの職務経歴書にある。専門分野に限らず出来る事をとにかく詳しく書くことで、広い分野での応用がきくことをアピールした。機械設計や光学設計が出来る事や、使えるソフトを具体的に明記した。さらに解かりにくい装置開発の内容については、図を使い詳しく説明した資料を数枚添付。この職務経歴書を見て驚く企業もあり、興味を持ってもらえた。出張や残業に対しても前向きに意志を伝えることで、子育てをハンディにはさせなかった。また、就職活動を始めてから、大学院・ポスドク期間の装置開発の経験が、大きな強みになることを知った。「機械と光学系、両方の設計が出来る人はすごく貴重だと面接で言われて、自分の経歴は社会の中で役に立つんだ、と気づきました。そのお陰で自分に自信をもつことができました。就職するまでに少し時間がかかったけど、回り道をしたことがよかったと思っています」

 内定を受けた中から、大学に近い雰囲気を感じた今の企業を選び、研究員として活躍している。機械と光学系の両方が設計できるのは、今の職場では彼女だけだという。"自分にしかできない仕事"がある彼女は職場で欠かせない存在となり、また家庭では2児の母として、忙しく充実した日々を送っている。 

 大学院・ポスドク時代の装置開発プロジェクトは少規模であったこともあり、広く浅く全体を把握する事ができた。それは"組織の歯車になるのではなく全体を理解する経験が大事だ"という教授の方針でもあった。研究室では事務的な仕事も自ら引き受け、講演会の事務局や学生の指導にも携わるなど、研究や論文だけではなく、様々な経験を積むことができた。研究生活の中でも、自らのキャリアにプラスできる要素を増やしていたのだ。

 「事務的な仕事も研究室で経験してきた為、研究員として働いている今でも抵抗なく引き受けられるんです。企業も中途で採用するにあたり、そういった経験を積んでいることも期待しているのだと思います」と話す。企業では研究員だからと言って研究だけで成果を上げればよいわけではなく、その他のオプションをこなしていけることも大切なのだろう。



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